KOF’2000 龍虎チームストーリー




タクマ 「こらっ! ユリまたんか!」
ユリ  「イーヤーでーす!今回は絶対に一緒のチームはいやなの!」
 極限流道場ではいつもの親子げんかが行われている。
ユリ  「いつまで私を極限流に縛りつけるの! 前も!その前も前も!! その前も前も前も!!!! その前も!!!! 『KOF』の大会で、一緒だったんだから、今回は絶対! 絶対! ぜぇーったい! イヤ!!」
 いつにもまして、激しく口論している。
ユリ  「もういいかげんにしてよね! 極限流の宣伝はお父さんやお兄ちゃん達だけで充分じゃない!」
 ユリはそういうと荷物をもって足早に廊下をかけていく。
 玄関で靴を履いていると、リョウがやってくる。
リョウ 「ユリ、大丈夫なのか? 俺もお前がもう充分に強いことは認めている。だからこそ、メンバーから抜けるのは痛いと親父も思っているんじゃないか?」
ユリ  「分かってるわ、お兄ちゃん。でも私、もうお兄ちゃんやロバートさん、そして、お父さんに守ってもらうほど、子供じゃないのよ。一人の格闘家として、自立したいのよ!」
リョウ 「それは分かるが…」
ユリ  「あと、私の抜けた分は心配しないで。強力な助っ人呼んでくるから!」
リョウ 「何? おまえの代わりを? 誰だそれは?」
ユリ  「それは秘密。じゃあ、お兄ちゃん行ってきまーーす!」
リョウ 「お、おいユリ…まったくあいつは…しかし、どんな助っ人呼ぶつもりなんだ?」

※ ※ ※

ここは、サウスタウンの『バー・イリュージョン』。有名な女格闘家、キングの店である。
キング 「ちょっ、ちょっと待ってくれよ。何で、私が極限流に入らないと駄目なんだい!?」
ユリ  「お願い! 頼めるのキングさんぐらいなものなんです!!」
キング 「大体、ユリのチームはどうなってるんだ? メンバーそろってるのかい?」
ユリ  「はい。もう3人まではメンバー決まってるんです。あと1人、枠が空いてて、ホントならキングさんに入ってもらいたいんですけど…私が極限流抜ける代わりの人っていうと、キングさん以外には考えられないんです! それに、キングさん。お兄ちゃんとは仲がいいみたいだし…」
キング 「いや、仲がいいっていうのは、ちょっと違うような気もするが…」
ユリ  「キングさん! この通り! 一生のお願い!」
 ユリは深々と頭を下げる。
キング 「おいおい、よしてくれよ。はあ…、まっ、しょうがないな…いいよ。今回は極限流のチームに入ることにするよ!」
ユリ  「ほっ、ホントですか!? ありがとうございますーキングさん!!」
キング 「ただし! ユリのチーム! 決勝まで負けるんじゃないよ!」
ユリ  「はい! キングさん! みんなで頑張ります!それじゃ!」
キング 「え!? もう、帰るのかい?」
ユリ  「はい! 最後の1人のメンバー捜し、しなくちゃいけないんで! それじゃ!」
 ドアを開けて、元気よくかけていくユリ。
キング 「お、おい! ユリ! ったく、疾風のように現れて、疾風の用に去っていく子だねえ」

※ ※ ※

そして、時は瞬く間に過ぎていき、大会まで残り数週間となってきた。
ロバート「おいっ、リョウ!どないなってるんや!」
リョウ 「ああ、ロバートか。どうした血相変えて」
ロバート「ユリちゃん。今回はワイらと違うチームらしいやないか! どないなっとんねん!」
リョウ 「それでわざわざイタリアから飛んできたのか。物好きな奴だな」
ロバート「何やと! お前、ワイとユリちゃんの仲知っててやってるやろ!」
リョウ 「そんなことはないぜ。別にお前達を引き離そうとしたわけじゃない。ユリが勝手に出ていっただけだ」
ロバート「ほー、それならこれはなんや?」
 その新聞には、今回の大会の主要出場者が載っていた。
リョウ 「何々、極限流メンバーは今回メンバーチェンジがあり、ユリ・サカザキの代わりに女性格闘家チームの重鎮、キングがチームメイトとなったもよう…何!? キング!?」
ロバート「そや! お前キングといい仲になろおもて、ユリちゃん外したのが見え見えや!」
リョウ 「おいっ、ロバート! 俺は今、それを知ったんだぞ!!」
ロバート「ええかげんホンマのこといいや! 龍撃拳!!」
『ドフッ』
 リョウはかろうじて、ガードした。
リョウ 「おいっ、ロバートやる気か?」
ロバート「おおっ! ワイは気がたっとるんや!」
タクマ 「やめんかーー!!」
 その時、轟音が道場内に響いた。
タクマ 「馬鹿者供が!何をやっておる!」
リョウ 「親父…」
ロバート「師匠…」
タクマ 「まったく、成長せんな。お前達は!ところで、おいリョウ!お客がきとるぞ」
リョウ 「俺に?」
キング 「ハイッ、リョウ、ロバート!元気そうだね」
 タクマの後ろから現れたのはキングである。
リョウ 「キング!?」
ロバート「おーおーお熱いことで!」
 ロバートがすねたようにいう。
キング 「ロバート、リョウが知らなかったのは本当だよ。新聞にメンバーが載るまで私がリョウに連絡しなかったからなんだ。それと、ユリが極限流チームから抜けたのは本人の意思。その代わりに、私に極限流チームに入ってくれって頼んできたのさ」
リョウ 「すまない、キング。ユリのために自分のチームから抜けたのか…」
キング 「いや、今回はいい経験になりそうだからね。今まで私は他のチームに入るってことがなかったから。いい勉強させてもらうよ」
リョウ 「キング…」
ロバート「ちょっと、待ちいや!ワイは納得できへん!極限流チームに入るからには、それなりの実力が必要や!力試ししようやないか!」
リョウ 「ロバート! お前キングの実力は充分…」
 キングがリョウの言葉を遮る。
キング 「ああ、いいよ。お相手してもらおうか。まあ、実力テストといった所だね」
タクマ 「よかろう!道場で試合を行う!」

※ ※ ※

『ガキッ』
 ロバートとキングの蹴りが重なる。もう、幾度となく、相打ちが決まっている。2人共に肩で息をし、すでに体力の限界がきているのは明らかである。
ロバート「はぁはぁ、さすがやなキング…伊達にバウンサーはやってなかったってことやな」
キング 「あんたもね…確かに…極限流最強の虎だよ…」
 お互いあと一撃出せるのが精一杯のようである。
ロバート「はないくで!キング!とりゃぁ!」
キング 「ヤアッ!」
『ガシッイッ』
 またしても重い蹴りが重なりあう。お互い、もうこれ以上攻撃を出すことは不可能である。
タクマ 「では、ここまで!」
リョウ 「大丈夫か?キング!ロバート!」
キング 「ああ、大丈夫さ…しかし、さすがに得意の蹴りあいで相打ちとはまいったね…」
ロバート「それは…こっちのいい分やで…」
タクマ 「では、ロバート!キングを極限流メンバーに入れること、文句はないな?」
ロバート「ええ、文句なしですわ…師匠…」
タクマ 「それではキング、分かっていると思うが極限流の一員になるということは…」
キング 「分かっているよ、タクマ…極限流の名を汚すことはしないよ」
タクマ 「それでは、このメンバーで『KOF』の大会に出場する! もちろん常勝!優勝を目指す!!」


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