KOF’2000 女性格闘家チームストーリー
プラットホームの椅子にユリと舞が座っている。何やら、口論しているようである。
ユリ「もうっ、舞さん。まだ怒ってるんですか?」
舞 「なんで、私をチームから外すわけ? 信じられないわ! アンディ!」
ユリ「だから、マリーさんの仕事の都合でそうなったんだから、仕方ないじゃないですか」
舞「仕方ない!? 仕方ないで済ませりゃ、警察はいらないってーの!」
ユリ「私に当たらないで下さいよ舞さん。それより、早くチームメンバー捜さないと、もう、あまり日にちがないんですから」
舞「分かってる、分かってるって! 仕方ないから、チーム組んだんだから!」
ユリ「もーなんで、そんないい方かなーったくもー」
そういいながら、ユリはあたりをキョロキョロ見渡す。
舞「ちょっと、ユリちゃん。誰かここにくるの?」
ユリ「へへっ、ちょっとメンバーにあてがあるんですよ」
舞「え? 誰々?」
そういっている間に電車がすべりこんでくる。
ユリ「あっ、この電車です。これに乗ってくるハズなんですけど…」
『ぷしゅー』
電車は停止し、乗客がぞろぞろと降りてくる。その中に、いかにも場違いな格好をしている、傘をかついだ袴の少女がいる。
舞「あっ、あれは!」
ゆり「おーい! 香澄ちゃーん! こっちこっち」
香澄「あっ、ユリさーん!」
舞「ああ、父を訪ねて三千里の娘ね」
ゆり「なんっか、トゲトゲしいなあーもう…あ、香澄ちゃん。久しぶり」
香澄「ホントにお久しぶりです。今回、チームに誘っていただいてありがとうございます」
舞「こんにちは、香澄ちゃん。さすがにお父さんはもう見つかったでしょ?」
ユリ「もー舞さん! いいかげんにして下さい! ごめんね。今、舞さん、ちょっと荒れてんのよ。気にしないでね。で、香澄ちゃんも来てくれたから、残すはあと1人ね」
香澄「あ、そのことなんですけど、私にいいアイディアがあるんです!」
舞・ユリ「アイディア?」※ ※ ※
「まあ、ここがオーディション会場ですねぇ」
日本的な屋敷の前で、いかにもいいとこのお嬢さんという感じの少女が豪華な車から、降りる。家の門にはでかでかと『藤堂流道場』と書かれている看板が出ている。
彼女はスタスタとその門をくぐり、中に入っていく。
ユリ「ふうっ」
舞「どう、ユリちゃん、いい子いた?」
汗をタオルで拭きながら、ユリはパイプ椅子にドカッっと座る。
ユリ「どうっ…て、香澄ちゃんには悪いけど、誰も彼も手応えがないですよ舞さん。これでホントにチームメイト決まればいいんですけどね」
香澄「そうですか…一般公募でチームメイト見つけるアイデアは悪くないと、思ったんですけど…マリーさんにも手伝ってもらって、『いんたーねっと』とかにも募集をしてもらってたんですけど…」
舞「そう!そうよ!大体なんでマリーさんがテリー達のチームに入ってんのよ! まったく…そうだわ!きっと主催者の陰謀、陰謀だわ! 私とアンディの仲むつまじい所が気に入らなかったのよ!」
ユリ「もーまだそんなこといってる…あ〜あ、でも、こんなことならお兄ちゃん達にキングさん紹介しなけりゃよかった」
香澄「それもそうなんですが、とりあえず、まだ一般公募の選手待ってますから、始めます? ユリさん?」
ユリ「そうね〜とりあえず、私達のチームに入りたいってきてるんだから、お相手してあげなくちゃね」
舞「じゃ、次の人どうぞ!」
稽古場に次の選手が現れる。さきほど豪華な車から降りてきた人物である。
「私、四条雛子といいます。よろしくお願いします〜」
その出で立ちに3人はびっくりしている。ブロンドの髪、品のある愛らしい顔つき、おまけに、女子高生らしい制服。およそ、格闘技とは縁のなさそうな少女がそこに立っていたのである。
舞「あ、あのね。えーと雛子ちゃん。今回、『KOF』の大会に出場したいの?」
雛子「はい。この度、せびチームメイトに加えていただこうと思いまして、やってまいりました」
ユリ「えと、雛子ちゃんは格闘技大会には参加したことあるの?」
雛子「いえ、今回が初めてです〜」
ユリ「あ、ああ、そうなのね(舞さん!シロートじゃないですか!)」
舞「(分かってるわよ!)それでえ、ええっと…そうね。それじゃ、さっそくだけどユリちゃん、相手してあげて!」
ユリ「え、えー!? (相手は素人なんですよ!?)」
舞「(彼女も実力の差を見せつけられたら、あきらめるって!)」
香澄「(それに、組み手もせずに追い返したら失礼ですよ)」
雛子「あの、何か?」
ユリ「ああっと、なんでもないのよ。それじゃ、手合わせしましょうか?」
雛子「はい。お願いします〜」
試合が始まった。
すると雛子がいきなり、四股を踏みはじめる。
舞・香澄「えっ!? あっ!あの構えは!! まさか!!」
ユリ「すっ、相撲!?」
わずかな隙をついて、ドスッっと雛子がユリに突っこんでくる。
ユリ「(ま、まずいわ!腰をつかまれた!)」
舞・香澄「あー!!」
そう思った瞬間、ユリは床に投げ転ばされる。
舞・香澄「う・わ・て・な・げー!!」
相撲技が見事、ユリに決まったのである。
舞「う、うそっ…」
香澄「すごい! 一瞬でユリさんを投げちゃうなんて!」
雛子「どうでしょうか?」
もう、雛子は試合中の真剣な目つきはなくなり、おっとりした表情に戻っている。
舞「あ、あなたの実力は分かったわ。それで、聞きたいことあるんだけど、どうして『KOF』の大会に出たいの?」
雛子「はい。お話しすれば長くなるのですが、名のある大会で優勝すれば、私の通う学園に相撲部を作ってもらえるので、これはぜひ、大会で優勝しなくては! と思っているのです〜」
舞「は、はあ…(何か話がよく分からないけれど、もしかしたらすごい掘り出し物かも…それにしても、えらく、格闘スタイルとキャラのギャップが激しいわね…)」
雛子「もし、『KOF』の大会で優勝できれば、もう一人ぼっちの稽古がなくなりますね。そうすると、部員は何名くらい入って下さるかしら? 稽古場はやっぱり、作っていただかないと、そうね! 体育館横のスペースに…」
ユリ「あの、舞さん…なんか、彼女一人で盛り上がっているんですけど…」
香澄「でも、すごいですよ。あの体で、すごいテクニックです! それに私と年齢も近いみたいですし、いいチームメイトになれそうです!私は彼女に参加してもらいたいです」
ユリ「私もいいですよ。いきなり投げられるなんて、ちょっとショックでしたけど…」
舞「そ、そうね、ちょっと天然ボケってのもあるけど、確かに実力はあるんだし…あの、雛子ちゃん?」
雛子「そして、稽古場からは見晴らしのいい丘が…あ、はい。なんでしょうか?」
舞「あなたを、チームメイトとして、迎えるわ。よろしくね」
雛子「はい〜ありがとうございます。私、頑張りますのでよろしくご指導のほどよろしくお願いします〜」
BACK HOME