KOF’2000 韓国チームストーリー




 ジョンのもとへチョイが来てから数ヶ月、日本での生活もジョン流の更正も順調に進んでいた。
 ジョン「さすがはチョイさん、飲み込みがはやいですね。感心しました」
 チョイ「まぁ、これくらいなら、余裕でヤンスよ」
 ジョン「明日、出かける用事があったので、自習を予定していたのですが、これなら、その必要もなさそうですね。予定を変更して、チョイさんも一緒に出かけることにしましょう」
 チョイ「どこにでヤンスか?」
 ジョン「東京ですよ」
 チョイ「東京?」

※ ※ ※

 次の日の朝、少し早くに出発し、東京に向かう2人。東京到着後、電車を乗り換え目的の駅を降りると、駅前にはちょっとした集団が待ちかまえていた。
 男1「お!“白虎(ベクホー)”さんだ。お久しぶりです」
 女1「え?あなた“白虎”さんですか?初めまして“マリン”です」
 ジョン「おひさしぶり。“マリン”さん初めまして、この前のチャットではどうも」
 チョイ(“ベクホー”?)
 男1「あれ? 今日は、お連れさんが違うんですねぇ」
 ジョン「えぇ」
 “白虎”と呼ばれているジョンの状況、そしてこの十数人の集まるただならぬ雰囲気に戸惑いつつ、チョイはジョンに尋ねた。
 チョイ「あの〜、ジョンのだんな……この集まりは何なんでヤンスか?」
 ジョン 「あぁ、これはアテナファンクラブのオフ会です」
 チョイ「………」

※ ※ ※

 一方、韓国では、帰ってきたチャンを歓迎(?)するかのように、いつもの厳しいトレーニングが相変わらず続いていた。
 キム「はい、あと2セット」
 チャン「えぇ!? あ、へ〜い……」
 少しでもキム側の方がよかったかもと思った自分を悔いつつ、追加された2セットをこなそうとした時、この数年何度となく聞いたフレーズが、キムの口から発せられた。
 キム「そういえば、ジョンさんからの話によると、今年も『KOF』が開催されるそうです。」
 チャン「もうそんな時期か……ん? と、いうことは……」
 キム「明日からそれに向けて強化トレーニングを開始したいと思います」
 チャン(やっぱり……)
 いつものこととはいえ、げんなりしつつも、1年前自分が体験した、違う意味で不幸な境遇にたたされているであろう、チョイを思うと、こう呟いた。
 チャン(そろそろ、修行の本当の辛さがわかる頃だな………)

※ ※ ※

 男2「やっぱ、定番のセーラー服衣装が一番萌えですけどね」
 ジョン「この前のコンサートの時の衣装もなかなかよかったと思いますが」
 女2「あれ、可愛かったですよね〜」
 男3「あ、でも、あの衣装って、ひと昔っぽい感じがして………」
 ジョン「逆にその感じがよいんですけどねぇ……ハハハ、私も感覚がおじさんになってきたのでしょうか」
 先ほどの集団は場所を移すと、アテナの話を中心に盛り上がっていたが、その中で、取り残されるかのように、一人の男が黙ったまま、かれこれ数時間を過ごしていた。
 チョイ(チャンのだんながいっていたことは、こういうことだったのでヤンスね………確かに、修行よりつらいかも)
 男4「オレ的には、いつか忘れちゃったけど、数年前の『キング・オブ・ファイターズ』で着てたチャイナ服風衣装がよかったかな」
 男5「あ!あれの白色バージョンがあったの知ってる?ナースっぽくてかなりよい感じだったんだよね」
 ジョン「ほぉ、それは初耳ですねぇ。私としたことが…」
 男5「へへ、じ・つ・は、その画像あるんですよね。じゃあ、僕んとこのHPにアップしとくんで、取っちゃって下さいよ。あ、ちなみに裏ページの方ね」
 ジョン「ありがとう」
 男1「あ、そうそう、『KOF』で思い出したんだけど、今年も『KOF』が開催されるみたいって、どっかの掲示板で書きこみがあったよ」
 男3「じゃあ、アテナさんも出るんだろうね……今回どうする? 遠征する?」
 男1「まだ、正式に発表されてないからなぁ……発表ありしだいってことで」
 男4「でも……今年はどんな衣装なんだろ? 巫女とか、メイドとか……」
 男2「それは、アンタの趣味や!」
 一同、(笑)←笑いのポイントが分からない一人を除いては。
 女2「そういえば“白虎”さんはどうするんですか? 前回は出場されたんですよねぇ」
 女1「え? “白虎”さんって格闘もやってはるんですか?」
 男1「そう、テコンドーをやってるんだって。で、どうなの?」
 ジョン「えぇ、出場しようと思ってます」
 男5「それじゃ、アテナさんとも戦うかもしれないんですね……でも、けがさせちゃダメですよ」
 ジョン「まぁ、それはそうなんですが……アテナさんもこの時は一格闘家として挑んでいます。もちろん、真剣勝負ですからけがはつきものですよ……アテナさんだからといって、手を抜いたりしたら、失礼になりますからね」
 この時だけは、ジョンも本来の面をみせる。その場にいた同じ趣味を持つ仲間も、その格闘家としての意見に耳を傾けていたが……。
 ジョン「あ、でも、ちゃんとサインはもらってくる予定ですよ」
 男3「がくっ……なんだ、やっぱ“白虎”さんは“白虎”さんじゃん。一瞬、別次元の人かと思ったよ」
 男4「でも、いいなぁ、アテナさんと戦えて」
 ジョン「ははは、なら、ここの彼と一緒に、私のもとでテコンドーの修行をやりますか?」
 男4「修行は、ちょっと………はい、やめときます」
 一同、(笑)←笑えない一人を除いては。
 男1「さて、そろそろ二次会の方へ移ることにしますか」
 チョイ(助かった)
 チョイは、二次会の内容が気になるところだが、とりあえずこの場が終わることにホッとしていた……。
 チョイ「で、あの〜、二次会は何なんでヤンスか?」
 ジョン「カラオケですよ」
 やっと自分もついていける!チョイの表情が明るくなる。
 チョイ「おぉ、カラオケ!久しぶりでヤンスねぇ、何歌おうでヤンスかねぇ」
 ジョン「あ、ただし、曲はもちろん“アテナしばり”でってことに決まってますから」
 チョイ「え?」
 ジョン「これを機に、チョイさんもアテナさんの曲を覚えて帰って下さい。次のコンサートの時、一緒に歌いましょう」
 チョイ(チャンの丹那〜…助けて〜……)


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