KOF’2001 日本チームストーリー




 「ふんっ」

 ダーン!

 道場でもひときわ目立つ大柄な男は、オリンピックの代表選手を軽々と投げ飛ばした。

 「今日はこれまで!」

 「ありがとうございました!」


 大柄な男は柔道着を脱ぎ、巌の様な肉体から滴り落ちる汗をタオルでぬぐい始めた。

 と、その時。

 「よう、久しぶりだな大門!」

 「紅丸ではないか!」

 「コーチも大変だな。いや監督だったっけ?」

 二人は道場を出て、ベンチに座り、話し始めた。

 「・・・紅丸、その様子は、昔話をしにきたわけでもあるまい」

 「まあな・・・実はこれが来た」

 紅丸はおもむろに封筒を差し出した。

 「これは・・・キング・オブ・ファイターズの大会招待状か・・・」

 「ああ、そうだ。単刀直入に言うぜ、大門。お前も出場してくれ」

 しばらくの沈黙の後、大門は口を開いた。

 「紅丸・・・わしは・・・」

 「分かってるって。京だろ?」

 「うむ・・・」

 「じゃあ、京が、大会に出場するって言ったらどうだい?」

 「京が大会に!?おぬし京と連絡がとれたのか?」

 「ああ、電話で話しただけだがな。日本にいるらしいぜ。
  今回、大会に正式出場するそうだ」

 「うむ・・・」

 「もう一度組むかい?大門?」

 「・・・紅丸。案内してくれ」

 「そうこなくっちゃな」



 月明かりが照らす公園のベンチに、真吾は落着かない様子で座っていた。

 「草薙さん。こんなとこで待ち合わせしなくても・・・」

 あたりに人の気配はない。

 真吾は正直言って怖かった。真夜中の公園にたった一人だけ・・・

 「ああ、もう、12時過ぎてるよ・・・草薙さん、ホントに来るのかな・・・」

 月を仰ぎ見ながら、つぶやいた・・・

 その瞬間、背後に人の気配を感じた。とっさに後ろを向く。

 「・・・なんだ・・・気のせいか・・・」

 「真吾」

 「うわっ!」

 名前を呼ばれて、真吾はあわてて前を向いた。

 そこには、真吾が会いたくて会いたくて仕方のなかった男の姿があった。

 「草薙さーーーーーーーん!」

 京は、喜びのあまり飛びつこうとした真吾を片手でいなす。

 勢い余った真吾は、顔面から見事に着地した。

 感動の再会はそれで終わりだった。
 鼻をおさえて立ち上がる真吾に、京は苦笑しながら言った。

 「まったく。相変わらず変わってねえな」

 「いたた、草薙さんこそ!今まで何してたんですか!心配したんですよ!」

 「まあ、いろいろとな。で、真吾、紅丸は?」

 「はいっ!紅丸さんはもうそろそろ来ると思います。
  ・・・あっ、来ましたよ!」

 月の光に金髪を輝かせながら紅丸が歩いて来る。その後ろに、大柄な男がいた。

 「あ、あれは・・・」

 京は驚いた。

 「京、久しぶりだな。土産といってはなんだが、大門を連れてきたぜ」

 「紅丸・・・大門・・・」

 「久しぶりだな、京。大変だったようだな」

 「まあな・・・」

 「まあまあ、そんな深刻な顔すんなよ二人共。
  それより、京、伝言があるぜ。
  お前ユキちゃんとこに顔出してねえだろ?心配してたぞ。」

 「ユキが?ああ・・・そうだな。これが終われば・・・」

 「ったく・・・お前はどうして・・・まあ、いい。
  で、だ・・・お前のこの押しかけ弟子はな、この俺が面倒見てやってたんだぜ。
  まあ、こう言っちゃあ何だが、昔より少しはマシになってると思うぜ。」

 「少し?少しってヒドイですよ、紅丸さん!」

 どっと笑いが起きたが、すぐに空気が変わった。

 「京・・・分かるか?」

 「ああ、・・・囲まれたようだな・・・3、4、5人もっといるのか」

 「むう・・」

 京、紅丸、大門の三人は、先程までのなごやかな雰囲気から一変して、
 急速に闘気を高めている様子だ。
 ただ一人、真吾だけは訳が分からずオロオロしている。

 「あ、あの・・・皆さんどうしちゃったんですか?」

 京はグローブをつけなおしながら、叫んだ!

 「久しぶりにひと暴れするか!!紅丸!大門!」

 「ああ!日本チームとしてな!!」

 「うむ!」

 京、紅丸、大門は一斉に闇に向かって走り始めた。

 「うわあーーーみ、皆さーん!僕を置いてかないでくださいよーーっ!」


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