KOF’2001 餓狼伝説チームストーリー




澄んだ青空、風が心地いい。
ここサウスタウンの公園、サウスタウンパークからは、フットボールや野球などを楽しんでいる子供達の笑い声が
絶えることなく響いていた。
その中のバスケットボールで遊んでいる子供達の元へ、トレードマークの赤いキャップを被った男がやってきた。

「よう!みんな頑張ってるな!」

「あ、テリー兄ちゃんだ!よかったぁ。今日も来てくれたんだね!」

テリーは子供達とバスケットボールをした後、ベンチに座って話をしていた。

「テリー兄ちゃん!今さぁ、テレビとかでいっぱい宣伝してるんだけどさ、
キング・オブ・ファイターズがまたあるんだって!テリー兄ちゃんも出るんだよね?」

「お!?そうか、今年もあるのかそういえば、毎回出てたよなぁ」

「ねぇ、テリー兄ちゃん、今年も闘って欲しいな。兄ちゃんはこの街のヒーローだもん!」

「僕だって、今までテリー兄ちゃんの闘ってるところ見て勇気がわいてきたもん!
僕だってここにいるみんなだって一人ぼっちじゃないって」

テリーはこの公園の子供達の所にちょくちょく顔を出している。
それは、彼らが自分と同じ孤児であるという事。
そして養父・ジェフの様に、そんな境遇に負けずに彼らに勇気と希望を与えてあげたいと思うからである。

彼らの笑顔がいつまでも見られるのならテリーは決意した。

「よーし!いっちょ出てやるか!」

「本当!?やったぁー!!」

子供達の喜ぶ顔を見て、テリーは養父ジェフと過ごした日々を思い出し、
懐かしい気持ちになって遠くを眺めていた。
すると、一人の女性がバイクを降り、彼の元へとやってきた。

「テリー、久しぶりね」

「おっ、マリー!久しぶりだな、ここにいるってよくわかったな」

「ここにいるとは思っていたのよ。まあ、女の勘かしらね。
それにしてもさっきから随分と楽しそうじゃない、何の話してたのかしら?」

「実はな、今年のK.O.F.にも出ることに決めたんだ。
こいつらにいいとこ見せようと思ってな」

「そうなの実は私もその事でね。今回の仕事いつもながらK.O.F.が絡んでるのよ」

「本当か?だったらまた協力するぜ、マリー。今回も一緒にひと暴れだな!」

「うふふふ、なーんてね。クライアントの依頼があったのは確かだけど、
仕事だけってわけでもないのよね。でも、テリーが出場するって言うのなら、
今回は仕事抜きで、力を貸してあげようかな?」

「フッ・・・言うなぁ。じゃあマリー、改めて今回も一緒に出てくれるかい?」

「ええ、いいわよ!テリー」

「よーし、おまえら見てろよ!今回も優勝は俺達だからな!」



ところ変わって日本。アンディは不知火の里で北斗丸という少年と修行に励んでいる。

どう見てもまだまだ子供にすぎない北斗丸に、アンディは容赦なく稽古をつけていた。

やがて日が傾き、その日の修行が終わろうとした頃、アンディは北斗丸に向かって話し始めた。

「K.O.F.の事はお前も知っていると思うが」

「うん、お師匠がよくお話してたからね」

「うむ、そのK.O.F.だが兄から連絡があってな。
今回も兄達と共に出る事にしたんだが、北斗丸、お前も私と一緒に行くんだ。
そろそろお前にも本物の闘いがどういうものか感じてもらいたいと思ってな。わかるな」

「うんわかったよ!」

「それからこの件については、舞にはお前からうまく言っておいてくれないか。
私の口からだと、色々とな・・・」

「お師匠、またぁ?いつも不知火の姉ちゃんなだめるのオイラなんだからさぁ。
あっ、そういえば、お師匠、道場開いたんでしょ?しばらくそこに逃げてれば?」

「駄目だ、あそこはもう舞に見張られてるハズだ。」

「う〜ん、じゃあ、お師匠。やっぱり自分でなんとかしてよ。じゃね!」

北斗丸はそう言うが早いか、傍にあった大ぶりな杉の幹に駆け上がり、
あっという間に枝伝いに森の中へと消えていった。

「あっ、まてっ!おいっ!」

一瞬、途方に暮れた表情を見せたアンディだったが、
やがて弟子の成長を一つ認めたかの様に、微笑みを浮かべた。


一方ジョーは、タイでムエタイチャンプとして日々試合に明け暮れていた。
ある日、休みのとれたジョーは、かつて世話になったジムを訪れた。
しかし久しぶりに訪れてみると、ジムには活気がなく、選手もほとんどいない寂しい状態であった。
ジョーはリングの脇にジムの会長を見つけ、話しかけた。

「会長!お久しぶりです。この有り様は一体何があったんです?」

「おお、ジョー!久しぶりだな。チャンプに来てもらえたのは光栄だが、
この村は昔に比べて貧しくなってしまってな。
皆、ムエタイで飯が食えればいいとは思うものの、金を作るだけなら、
若い者にはもっと手っ取り早い方法がいくらでもあるだろう。
まあ、この調子なら、このジムを閉めるのは時間の問題だよ。」

長はそう言うと、足元に転がった古びたミットを取り上げ、慈しむ様に撫でた。

それを見たジョーは胸をかきむしられる思いに駆られ、叫んだ。

「しっかりしろ、会長ッ!
俺がなんとかしてみるから、ジムは閉めるんじゃないぜ!」


数日後、昇りかけの朝日に照らされながら、テリーは、父・ジェフの墓標の前にいた。

墓標に花を手向けるテリーに、二人の男が近付いた。

「兄さん、久しぶりだね。元気にやってたかい?」

「元気そうだな、アンディ。ジョーも一緒か?久しぶりだな、噂は色々と聞いてるぜ」

「よぉ!テリーも相変わらずじゃねぇか!やっぱり俺達は3人揃わねぇとな。」

「そうだな。それから、マリーとは会場で合流する予定だ」

三人は、それぞれの思いを胸にジェフの墓標の前でK.O.F.への決意を固めるのであった。


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