KOF’2001 女性格闘家チームストーリー
「よーし!今年こそは絶対に出てやるぞー」興奮気味に、K.O.F.の招待状を握りしめながらつぶやく少女が一人。
その表情は大会への意気込みに溢れていた。
ここは、サウスタウンの中華街。
彼女はそこにある白叔父さんの中華料理店でアルバイトをしている。
彼女の名前は李香緋(リー・シャンフェイ)。
昔から喧嘩が大好きで、 この店のウェイトレスでありながら用心棒も兼ねている。
「去年は悔しかったなー。ちゃんと招待状は来てたのに、
マリーさんもキングさんも別の人とチーム組んじゃったし、
舞さんの所もメンバー揃ってたし・・・」前の大会ではチームメンバーを見つけられずに悔しい思いをした香緋(シャンフェイ)だったが、
今回こそは出場したいと強く思っているのだ。「よしっ!今年こそは絶対にメンバーを早く集めてチームを組むぞー!!」
心に決めたら、彼女の行動は早い。香緋は、朝靄にかすむ中華街から走り出した。
サウスタウンにあるアンディの道場の中で、舞の声だけが空しく響きわたっていた。
「アンディったら、もー絶対許さないわ!
前回に続いて二度までも私を放っておくなんて許さないわよ!
さあ!出てらっしゃいアンディ!!」
まさに怒髪天をつく、といった様子の舞の前に、何の前触れも無く香緋が現れた。
「こんにちは、舞さん!やっぱり、ここにいましたね!」「えっ!?香緋ちゃんじゃないの!どうしてここに!?」
「えへへへ、アンディさんが道場を開いてるって聞いて、来てみたんだ。
思った通りいましたね。舞さん!」「まあね。アンディが道場を開いたのはいいけど、ったく、いないのよ!
ますます居所がつかみにくくなって困ってるの。
えーと、それより私に何か用みたいだけど?」
「うん!今年は、私とチーム組んでもらおうと思って来てみたんだ!」「え?」
香緋は、前大会の時の事を舞に話した。
「ふうん、そうなんだ・・・よしっ!わかったわ。
香緋ちゃん、一緒に戦いましょう!
そしてアンディの奴をギャフンと言わせてやるわ!!」
「そ、そうだね。一緒に頑張ろー!
(ちょっと違うような気がするけど、よかった・・・)」
「ふうっ、世間は相変わらず不景気だねえ」
落ち着いた雰囲気の店内に女性が一人。
テーブルに広げた新聞をながめてため息をついた。
彼女の名はキング。
バー『イリュージョン』のオーナーであると同時に、格闘ファンの間では知られた存在である。開店までには、まだ時間がある。
キングは新聞から目を離し、分厚いオークのカウンターの上に無造作に置いてある封筒を見た。
K.O.F.の招待状だった。「今年もまた、性懲りも無く送られてきたか・・・もういいんだけどねぇ」
その時、カランカランッとドアベルの音がした。
「悪いね、まだ店はやってないよ。」
ドアの方に背を向けたまま、キングは物憂げに答えた。
「キングさん?久しぶり!」
「!!香緋!?それに舞まで。ふーん」
キングは二人の顔を見た瞬間に、K.O.F.出場の誘いだと理解した。
しかし、彼女は大会に出る気は毛頭無かった。
だから正直に二人に理由を告げ、引き取ってもらおうとした。だが、香緋と舞は執拗に食い下がり、なかなかおとなしく引き上げてくれそうもなかった。
キングは、ついに根負けした。「わかった、わかったよ!出てやるから、そうわめかなくてもいいって!」
「本当!?やったぁー!!」
二人は大喜びである。「でも、あと一人はどうするつもり?三人じゃ出られないだろ?」
「はぁ、そういえばどうしよう。
香澄ちゃんは前の大会でお父さんを見かけたとか言ったきり旅に出て音信不通 だし・・・
ユリちゃんはとっくに極限流でチーム組んじゃってるだろうし・・・」「舞さん。えっとね、去年出てたお相撲の女の子ってダメなの?」
「あーー雛子ちゃんねぇー。でも、彼女、学校があるんじゃ・・・」
「大丈夫、あたしが説得してみせるよ!」
香緋は自信満々で言うのだった。
「はじめましてー。四条雛子といいます〜」
バー『イリュージョン』に雛子が来るのにさして時間はかからなかった。
なんという偶然か、ここサウスタウンに彼女は旅行に来ていたのである!
最後のメンバーが揃いそうだ、ということで、舞はすっかり上機嫌だった。「あなたが、相撲マニアの雛子ちゃんね。
今日は全部おごりだからいっぱい食べていいよ」「!!」
キングはグラスをふく手を一瞬止めて、深呼吸をした。
仕方が無い、今日はついてないんだ、と心の中で自分に言い聞かせた。
そう、ついてない。これで今日は赤字確定だ。「そうですかぁ〜ありがとうございます。では、いただきます」
「でさ、雛子ちゃん、一緒にK.O.Fに出ない?
雛子ちゃんがいれば絶対優勝だよ!!」「そうですかぁ〜?そう言っていただけるとありがたいですわ。
それに私もまた出場できるのでしたら部員の勧誘にもなりますし・・・
そうですわ、うちの相撲部の方々も連れてきてよろしいですか?」「うん、いいよ、人数は多い方が楽しいもん!応援団もいたらいいよね!」
「ま、まあ、私はいいけどね。とにかくこれでメンバーが揃ったわけだね、やれやれ」
「では、優勝したあかつきには、私の主催で、皆さんでお食事会をいたしましょう〜」
「え!!本当!?よーし!ますます闘志がわいてきたぞ!ひと暴れしてやるぞー!」
かくして、香緋の熱意と舞の怒り、キングの寛容(?)によって、
新女性格闘家チームが結成されたのであった。
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