KOF’2001 ネスツチームストーリー




「フンッ、馬鹿馬鹿しいぜっ!全くよ!」

暗がりの部屋の中で、中央の机にドカッと座り込んでいる男が声を発する。

その机の周りには二人の女がいた。

「なぜ?」

束ねている髪の毛がやけに特徴的な女が答えた。

「前の戦いで奴のコピーは出回ったんだろ?
もう、用済みじゃねえかっ!えっ!?フォクシーさんよ!」

「だからこそ、オリジナルには消えてもらいたいのよ。
草薙 京、組織には邪魔だわ」

「フンッ、まあいい。
だが、その能力を移植された奴はどこいった、えェッ!?
K´はどうなったんだよ?まんまと逃げられちまったんだろ?
なんで前の奴らの失敗を尻拭いしなきゃなんねえんだよ!
なあ、幹部さんよ!」

「ちょっと口が過ぎるね。K9999!」

もう一人の腕を組んだ長身の女が口をはさむ。

「いいのよ、ダイアナ。これから同じチームを組む仲間なんだからね。」

「ケッ、まあ、いい。それじゃ、会場で会うことにしようぜ。
お互い仕事は山積みだろうからな」

「ええ、いいわ。それじゃ、大会で」

K9999はそれには答えず、ドアを叩きつけるように閉め、出ていった。


「どうだった?」

階段を踏み鳴らしながら上がってくるK9999に、踊り場で待つ影が声をかけた。

「ケッ、奴ら俺を見下しやがって!」

その影は階段の逆光で顔まではっきりとはみえないが、
そのシルエットでしなやかな体躯を持つ女とみてとれた。

「そんなことないって!気にし過ぎよ、K9999」

女の声を全く聞かなかったかのようにK9999はわめき続けた。

「フンッ、俺とK´を比較してやがるっ!
聞けよ!アンヘル。あのできそこないとだぞっ!!」

「世界一強いって!K9999は!
K´なんて目じゃないよ!私もいるしさっ!」

「うるせェーーーー!!」

K9999の声が暗い通路に響き渡る。

「気にいらねぇ!気にいらねぇ!!気にいらねぇ!!!
奴だけは!K´だけは俺の手でぶっ潰してやるっ!!」

そう言いながら、彼はアンヘルには目もくれず、一気に階段をかけあがっていく。

「ああっ、まってよK9999」

あわてて、アンヘルは追いかけていった。


先ほどの暗がりの部屋にK9999と口論していた二人の女がいた。

「ふっ、厄介なメンバーね」

「まあね」

「気をつけたほうがいいね。フォクシー。
アンヘルはともかく、K9999は普通じゃない。
組織の事もどうでもいい感じだ」

「そうね。でも実力は確かに組織1、2を争う程。
気をつける程度なら安いものね」

「悪いね。今回、私は正式に大会出場の命令は受けていない。
・・・だから、あの子の事」

「わかってるわ。ダイアナ。クーラのことはまかせて」

二人はしばし無言でいた。
今回の大会開催の件、任務、そしてクーラ・・・
今回はネスツ組織とは違う意図が感じられる。
しかし、命令は絶対だ。組織への忠誠心もある。
二人は会話するかのように見つめあった。沈黙が続いた。
声も発さず、そのまま二人は向かい合っていた。
しかし、どちらかともなく目で挨拶すると、一人ずつその場を後にした。


夢だ・・・地球に落ちてる夢・・・死ぬ のかな・・・
でも、不思議と死の恐怖はない・・・誰かに守られてる・・・
そう・・・これは・・・!!

「キャンディーーー!!」

パッと目が覚めた。目からは涙が溢れ出ていた。
あれからどのくらい経っただろうか。彼女はその濡れた瞳を拭う事もせず、窓に近寄った。
カーテン越しからさしこむ光がまぶしかった。
今、こうやって、生きて日の光が見れるのも、全部キャンディのおかげだ。
彼女はそう思う。
確かに組織にいけばキャンディには会える。
今回の任務にもキャンディはサポートしてくれるだろう。
でも、それはあの時のキャンディじゃない。ロボット・・・いくらでも作り直せる。
私は生き物、死んでしまう。でも・・・最近はこう思う。
私も本当は作り直せるのでは?昔の記憶がない私は人間なのだろうか?

彼女は部屋にある鏡に自分を映してみた。
私は・・・いったい何者?ロボットと変わらないのでは?
そんな気持ちがむくむくと頭をもたげてくる感覚に嫌気がさして、その考えをやめた。

それにしても・・・それにしても、嫌な奴がいる!
あの、火を使う組織の裏切り者のあいつ!!あいつはどこか私に引っかかる。
何か私と関わりがあるのではないか?
組織とかそういうことじゃなく、もっとこう、身近な存在・・・

「なわけないっ!」

バフッと、ベッドに体を投げ出した。もう、考える事はよそう。気分が悪くなる・・・

「あ〜あ、なんかいいことないかな〜」

声を出せば何か変わる、という訳でもないがそれは天に通じたらしい。

ルルルルルル・・・ルルルルルル・・・ルルルルルル・・・

「あっ、ダイアナから電話だ!」

さっと、クーラは電話に飛びついたのだった。


BACK  HOME