KOF’2001 サイコソルジャーチームストーリー
ここは険しい山間にある古びた寺である。
もう、日は暮れ、中国特有の山の陰影がくっきりと形を現していた。「ううっ、拳崇(ケンスウ)兄ちゃん。サイコボールが撃てないよ」
「大丈夫やって、包(パオ)。すぐスランプなんか脱出できるって」
山菜料理を箸でつまみながら、今にも包は泣きだしそうになる。
先程から落ち込んでいる包を、拳崇はなんとか励まそうとしているのである。「だって、拳崇兄ちゃんも、まだ超球弾撃てないじゃない・・・」
「うっ、い、痛いこと言うなあ。包。
まあ、なんや、お互い修行あるのみ!なっ!包!」「・・・うん・・・そうだね・・・頑張る!」
「そやそや!その意気やで!」
そう、笑顔で言いながらも拳崇は心中、穏やかではなかった。
相変わらず超能力は戻らないまま・・・それを振り切るかのように飯を口にかきこむ拳崇。「アテナ!おかわり!」
「え!?拳崇、もう、三杯目じゃないの。大丈夫?」
食事当番のアテナは心配そうである
「大丈夫じゃ、拳崇の腹はそんなにヤワではないぞい」
先程からの様子を眺めていた鎮(チン)が口を開いた。
「力が戻らんのじゃ、体力くらいつけんとのう」
「それも、そうですね。お師匠様」
「たはは、お師匠さん、アテナ。そりゃないで〜」
夜も更け拳崇と包が寝入った頃になっても、アテナと鎮は話をしていた。
「お師匠さん。どうなんでしょうか・・・拳崇と包君の事・・・」
「ううむ、そうじゃのう・・・」
鎮はお茶をすすりながら、考えた。
あの時・・・拳崇と包が接触した時、サイコパワーが天にのぼっていくように見えた。
あれで、二人共、サイコパワーのバランスがとれ、元に戻ったと思ったのじゃが・・・実際の所、包はサイコボールが撃てなくなり、拳崇の力は全然元に戻っておらん・・・
では、包の体に充満した力は拳崇に吸い取られたのじゃろうか?
しかし、それならば、なぜ、拳崇の力は元に戻らんのじゃろうか?ううむ・・・謎じゃ・・・しばらくして、鎮がアテナに話しかけた。
「アテナよ、考えても答えは出ないんじゃ。
今は二人が元気になるだけで十分じゃろうて」「はいそうですよね。二人が元気なら私もそれで」
そういうと、アテナと鎮はお互い微笑むのであった。
チチチッと小鳥のさえずりが聞こえる早朝。包と拳崇は早朝の修行をしていた。
「99・・・100・・・ぷはぁ〜しんど〜」
「さっすが、拳崇兄ちゃん!腕立て、今日のノルマ達成だね」
「ハァハァ当たり前や。
このくらいでへばってたまるかいな・・・絶好調やで!」とは言ったものの、拳崇はもう、ヘトヘトだった。
「じゃ、ここで超球弾撃ってみてよ!」
「え!?今かいな!?」
「だって調子のいい時ってうまくいきそうじゃない?」
「それもそうやな!よっしゃ!
もう、やけくそや!いっちょやってやるで!!」拳崇は思い切って、スタッと立ち上がり構えた。
「ハッ!超球弾やーッ!」
拳崇の掌が熱くなる。おっ!これはもしかしたら・・・
グググッと力をこめるとますます掌が熱くなり、やがて球状の光の塊が出現した。「すごいや!拳崇兄ちゃん!!」
包の声に励まされたかの様に、光の塊はグングンと巨大化し始めた。
え!?超球弾ってこんなにデカかったかいな!?
と、思った瞬間、光の塊は掌を離れ、勢いよく飛んでいった。ドッゴーーーン!!
轟音と共に拳崇の放った光の塊は、目の前にあった大木をなぎ倒してしまった。
「うわっ!すっごいなあ〜俺・・・ってあらら・・・」
「拳崇兄ちゃん!?拳崇兄ちゃんてばっ!!」
拳崇は目を回して大の字に倒れてしまった。
「ううむ・・・拳崇にそんな事があったとはのう・・・」
眠る拳崇をアテナが看病をしている。その横で鎮が早朝修行の事を包から聞いていた。
疲れ果てた後に、拳崇の超球弾が出現したという。
もしかすると拳崇の力はあやつの潜在意識の中に閉じ込められているのではないじゃろうか?
そして、包の力も一緒にその中に・・・「よしっ、決めたぞい!
迷っておったが、今年もK.O.F.大会に出場するぞい!」「え!?お師匠さま。
でも、拳崇もこの調子だし、包君も力は戻ってないし・・・」
「じゃからこそ大会に出場するんじゃ。
大会に出れば、また前の様に何か変化があるかもしれんじゃろうし、
このままよりは良い結果が得られるかもしれんしの」
「そうですね。大会に出ればなにか答えが出るハズですよね」「超能力戻ったらいいな。勿論、拳崇兄ちゃんも!」
「そうね。今回も何かありそうな気がするけど、この大会にはつきものだから」
「そうじゃ!拳崇、包、そして、アテナお前の為にもなるじゃろうて」
拳崇が眠っている横で三人は決意も新たにするのだった。
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