KOF’94 アメリカンスポーツチームストーリー




 「なぁ、一緒にやってみねぇか、ラッキー・グローバー」
 「なんなんだよ、あらたまって気持ち悪ィぞ」

 古くからの友人であるヘビィ・D!の部屋を訪問したラッキーは、普段ではあり得ない
 ヘビィ・D!のしおらしい表情に一瞬、自分の目を疑った。

 「キング・オブ・ファイターズ? なんだ、それ?」

 しげしげと招待状を見つめてラッキーは訊ねた。

 「俺もなんで招待されたのかは、わからねぇ。
  だが、俺の力を評価してくれてるってことは間違いねぇだろ」

 そう言ったヘビィ・D!を見てラッキーは、はっとした。
 過去に試合相手を死亡させ、それ以来、対戦相手を得られずにやり場のない怒りと
 ボクシングに対する絶望感にさいなまれていた彼にとって、この大会の招待状は
 何よりも喜ばしいプレゼントであるに違いなかった。
 そう思うと、まるで自分のことであるかのように嬉しい、と思った。
 また、ラッキーにとっても全米空手選手権のタイトル保持者である自分の実力が、
 世界の中で、どれほど通用するものなのか興味はあった。
 そう思うと、無性にこの大会に参加したくなった。が、一つ問題があることに気が付いた。
 そして、素直にヘビィ・D!に訊いてみた。

 「なぁ、あと1人はどうするんだ?」

 そう、この大会は3人1組のエントリーが条件であった。

 「ああ、ちょっと心当たりがあってな…」

 愛猫プーとじゃれあいながら、彼はそう言って、テレビのブラウン管を指した。

 「おい、マジかよ…」

 ブラウン管の向こうには、今シーズンのMVPに輝いたブライアン・バトラーの、
 これまた輝くような笑顔があった。

BACK  HOME