KOF’94 キムチームストーリー




 「おとうさん、みてよ! すごいよ!」
 幼い息子たちが、顔を紅潮させてキムを呼んだ。
 「どうしたんだい? ドン、ジェイ。おおっ!」

 そこには刑務所の防犯カメラに映ったチャン・コーハンの姿があった。
 画像はひどく悪いが、刑務所の壁をことごとく破壊してゆくその姿は、さながら化け物の
 ようであり、テレビを通してではあるが、その脅威は深く伝わってくる。

 「なぜ、彼はこれだけの力を持っておりながら、正義のために使わないんだ。
  よし、私が目覚めさせてやる!」

 ニュースは、この脱獄犯が未だに捕まっていないことを告げた。
 こうしては居られない。
 早速キムはチャンの居所をつきとめるべく街へ出た。
 すっかり夜も更けて、街は静寂に包まれているかの様であった、…が突然

 「ウヒョヒョヒョヒョヒョヒョ〜!!」

 と奇妙な叫び声が聞こえたかと思うと、鋭い刃物のようなきらめきが夜の街を彩った。
 その攻撃を間一髪でかわした、と思う間もなく次の攻撃が来る。
 右から来たかと思えば、上から飛んで来る。
 かなりすばしっこい奴だ。いくら防御していてもキリがない。
 そして、鋭い刃物のような爪がキムの喉元を狙ったその瞬間…。

 「飛燕斬!」

キムはほんの一瞬のスキをついて、この夜の来訪者に一撃をくれてやった。

 「ウヒョー! まいったでやんすよ!」

 そこには、顔面蒼白でオドオドしている小男のチョイ・ボンゲがいた。
 今の襲撃から、彼もまた驚くべき攻撃力を持ちながらも、その使い道を誤っていると
 キムは思った。

 「よし、あなたも私が教育しましょう。世の中にはまだまだ悪がいるものだな!」

 そう言ったキムの手には『キング・オブ・ファイターズ』の招待状が握られていた。

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