KOF’94 女性格闘家チームストーリー




 「だめったら、だめだ! 絶対にだめだ! オレは絶対に許さないぞ!」
 烈火の如く反対する兄・リョウの言葉を思い出すと、ユリは頬をふくらませた。
 「なによ、お兄ちゃんったら、あんなに怒ることないのにさ。
  おまけに父さんと、ロバートさんとチームを組んじゃうなんてズルイ!」
 怒りが収まらないままではあるが、ユリはふと冷静になった。

 「どうしよう…。3人1組なんて…。そうだ!」

 「も〜ぅ! アンディったらヒドイ! せっかく3人で出場しようと思ってたのに…。」

 舞は途方に暮れてつぶやいた。
 アンディは早々とテリー、ジョーとチームを組んでおり、ほかの知り合いは皆行方不明。

 「一体、どうすればいいのよぉ…」
 がっくりと肩を落としている舞の目の前に、同い年くらいの女の子が立っていた。

 「不知火…舞さん、ですよね?」

 その声の主の少女は、いつものような快活なイメージとは違う、初対面のせいか少し
 あらたまった口調をしたユリ・サカザキであった。

 「はい。そうですが… 何かご用?」 それに応えて、

 「実は…その…」
 「なんだぁ! あなたもだったの!」
 「そうなの! ひどいでしょ〜!!」

 初めて会って数分後に、2人はすっかり打ち解けていた。

 「でも、あたしたち2人のほかに誰か心当たりがあるの?」

 舞が訊いた。

 「ええ、1人イギリスにね♪」
 「ええっ!! イギリス〜!?」

 このやりとりの後、美しき女性格闘家チームが結成されたのは、そう遅くはなかった。

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