KOF’96 キムチームストーリー




 チャン・コーハンにチョイ・ボンゲ。
 共にキムの元で修行を無理やりさせられている御馴染みの二人がぼやいている。

 チョイ「ふうっ、まったくここに来てからどのくらい経つんでヤンスかね〜。チャンのだんな?」
 チャン「そんなこたあ、オレが知ってる訳ねえだろが」

 巨体の男は御自慢の鉄球をただ、黙々と磨いている。

 チョイ「それにしても、ツイてないでヤンス。前の大会でルガールのだんなに取り入る
     事さえ出来てれば、こんな事にはならなかったでヤンスねぇ」
 チャン「おかげでこの有り様だ!全くふざけてやがる。
      あのテコンドー野郎!オレ達をどーするつもりだい!」
 チョイ「ち、ちょっと、チャンのだんな、声が大き過ぎるでヤンスよ。
     キムのだんなに聞こえたらチョットやばいでヤンスよ」
 チャン「なんだと!チョイ!
      こんなヘンピな所で大声出そうが、キムの奴に聞こえる訳がねえだろが!」

 フッと二人の上に影が落ちた。

 キム「ん? どうした? 君達!しっかりと修行に励んでいるかな?」
 チャン・チョイ「ひっ!ひぃー!キ、キムのだんな!!」

 チャンとチョイは悲鳴をあげた。二人の間にキムがいたのだ。
 冷静な声の中にも怒りが感じられる。

 キム「私がどうしたって?」
 チャン・チョイ「い、いえ…な、何でも……」

 二人は声にならない声で答えた。

 キム「どうやら、私の教育が行き届いてなかった様だな。
     さあ!二人とも!トレーニングだ!!」
 チャン・チョイ「ひい〜!お助け〜!!」

 もう日が暮れて辺りが夕闇に包まれる頃、三人は食事を取りながらの一時を過ごしていた。

 チョイ「(やれやれ、チャンのだんなのせいでエラい目にあったでヤンスよ)」
 チャン「(チッ、キムの奴は地獄耳かよ。これが正義だあ!?聞いてあきれるぜ!)」
 キム「どうした。二人とも、顔色が悪いぞ」
 チョイ「えっ!?そんな事はないでヤンスよ」
 チャン「そ、そうですぜ。気のせいですぜ、だんな」
 キム「そうか? ならばよし!
     ところでお前達、これまでのトレーニングの成果が出てきてるんじゃないか?」
 チャン「出て来てる感じがしますぜ(ホントは疲れるだけだけどよ!)」
 チョイ「勿論でヤンス(こうでも言っとかないと、キムのダンナは機嫌が悪くなるでヤンス)」
 キム「よしっ!なら今度の大会は万全で臨めるな!」
 チャン・チョイ「え!?大会!?」
 キム「ああ、お前達には言い忘れていたが、今回もキング・オブ・ファイターズに出場する
     事にして、大会参加の申し込みをしてきた」
 チャン「ふうっ、またですかい。キムのだんな」
 チョイ「骨折り損のくたびれもうけには、もう飽き飽きでヤンスよ」
 キム「何だって?」

 キムの目付きが一瞬、険しくなった。

 チャン「い、いやー俺はどれだけ自分に力がついたか試してみたいですぜ」
 チョイ「そ、そうでヤンスよ。いい機会でヤンス。ここらで力試しでヤンスよ!」

 すかさずフォローを入れる二人。

 キム「そうだろう」
 チャン「(じょ、冗談であって欲しいぜ)」
 チョイ「(全くでヤンス)」
 キム「それに今回は特別な理由がある」
 チャン・チョイ「理由?」
 キム「ああ、そうだ。今回の大会で優勝出来れば、お前達の更生は終了したとみなす」
 チャン「そ、それじゃあ俺達は?」
 キム「今度の大会で優勝出来るくらなら、もう健全な精神と肉体になっているはずだ。
     十分一人でやっていけるだろう」
 チャン・チョイ「やっ、やったー!」
 キム「では決まりだ!それでは明日からキング・オブ・ファイターズに向けて
     トレーニングメニューを倍にする」
 チャン・チョイ「えっ、えー!?」
 キム「ん? 何か不服か?」

 キムの目が光る。

 チョイ「めっ、滅相もないでヤンス」
 チャン「やる気倍増ですぜ!」
 キム「では、明日からさらに厳しい特訓が待っている!頑張るぞ!」
 チャン「やりますぜ!(キムのだんなから自由になれるってんなら話は別だぜ!)」
 チョイ「はりきってトレーニングするでヤンスよ〜!
     (これでもう、過酷なトレーニングからはオサラバでヤンスよ〜)」

BACK  HOME