KOF’97 主人公チームストーリー




 大門の稽古場。額ずく男を腕組みしながら見ている大門。

 大門「先生・・・どうか頭を上げてください」
 男「いや、うんと言ってくれるまでは上げんぞ。このままでは日本柔道界はダメなのだ。
   頼む!戻ってきてくれ。そして日本柔道を助けてくれ!!」
 大門「先生・・・!」

 必死に体を起こそうとするが、頑として譲らない。困った顔で考え込む大門。

 大門「・・・わかりました」

 がばっと身を起こし大門を凝視する男。

 男「本当かね?」
 大門「柔道の強さに限界を感じて、この格闘界に身を投じた自分ではありますが、
     柔道を軽んじた事は片時もありませんでした。柔道がなければ今の自分はなかった。
     その柔道が危機とあらば、黙って見ているわけにもいかんでしょう。
     微力ながら、お手伝いさせてください」
 男「ありがとう、本当にありがとう大門君!」
 大門「ただし、一つお願いがあります」
 男「?・・・何かね?」
 大門「ご存じだとは思いますが、キング・オブ・ファイターズが明日から開催されます。
     何事もけじめが大切、全ての事はキング・オブ・ファイターズが終わってから
     という事にしていただきたい」
 男「そう言うと思っていたよ。わかっている。精一杯頑張ってくれたまえ」
 大門「ありがとうございます」

 港。どこを眺めるでもなくボンヤリとしている紅丸。煙草に火をつける。
 何度か火をつけたり消したりしながら、明滅する日を眺める。
 火の明滅に呼応してフラッシュバックする紅丸の記憶。

 紅丸「あの日以来か、奴に負ける事も勝つ事もなくなったのは・・・」

 呼応して脳裏をよぎるビジョンは全て京の姿。
 京と最後に対戦した時、京が自分にとどめをさした時の記憶。

 紅丸「奴に負けたって事をしばらく忘れてたな・・・」

 京に向かって煙を吐く。

 紅丸「いつまでも仲良しこよしってわけにもいかねえさ・・・
     そろそろ潮時かもな。草薙 京か・・・」

 響く荒い息遣い。ファイティングポーズをとっている京。何者かと闘っている。

 京「くそッ・・・!!」

 対戦相手の微妙な動きに、スキを見つける京。

 京「勝てる!!」

 掌から一気に燃え上がる炎。

 京「喰らえぃっ!!」

 打ち込まれる炎。消滅する相手の影。
 その瞬間、打ち込んだ炎が収縮して消え、入れ替わりに≪闇≫が拡散していく。
 何の影と特定できないくらいに広がっていく影。
 炎ばかりでなく、京さえも呑み込もうとしていく。

 京「くッ!・・・はッ!!・・・・・・!!!」

 全身はもちろん、声も呼応も全て呑み込まれてしまう京。
 視覚には闇しか映ってこない。その状態で次第に大きくなってくる耳鳴り。
 耳を押さえるが、どうにもならない。次第に何の音かがわかってくる。

 京「これは・・・歓声!?」

 耳鳴りが最大のものになった瞬間、突如として開けてくる視界。
 スタジアムが見える。彼方に『KOF』の文字。

 京「・・・・・・!」

 目を覚ます京。全身に汗をかいている。

 京「夢か・・・いつの間に寝入っちまったんだ」

 不意に机に視線を移す。その先に置かれている『キング・オブ・ファイターズ』の招待状。

 京「キング・オブ・ファイターズか・・・何があるってんだ・・・?」

 稽古場。道着をたたむ大門。
 港。煙草をもみ消す紅丸。
 招待状を眺める京。

 京・紅丸・大門「明日か・・・」

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