KOF’97 餓狼伝説チームストーリー




 国際線機内。何やら楽しげなジョー。それとは対照的に憂鬱な表情のアンディ。

 ジョー「ん? どうした? 浮かないツラして」
 アンディ「どうしたもこうしたも・・・。僕はいいんだ。
       父さんの墓参りっていう目的があるからね。けど、おまえは違うだろ?
       何の目的もなしに、どうして僕についてくるんだ?」
 ジョー「何の目的って、つれねぇなぁ。一緒に出ようぜ、キング・オブ・ファイターズによ」
 アンディ「嫌だ。次の大会ではシングル出場して、世界に俺の名を知らしめるって
       息巻いてたじゃないか。あれは何だったんだよ?」
 ジョー「いやいや、あれは嘘じゃないんだぜ!?俺としてはそうしたかった。
      だがな、世の中にはうまくいく事とそうでない事があるんだ。
      今回はたまたま後者だったって事さ。俺としてはそういった何ての? 運命?
      ま、何でもいいや。とにかくそういった事にはあんまり逆らわんことにしてんのよ。
      かと言ってだな、最初に立てた目的がスタートからつまづいたといって、
      全てをあきらめてしまう。これはこれで前向きとは言えない、そうだろ?」

 溜め息をつくアンディ。

 アンディ「お前の言う事は、いちいちもっともだと思うよ。それはそれでいいだろう。
       けどな、その“前向き”ってやつをどう考えたら、僕達がおまえとチーム出場する
       っていう事にすり替わるんだよ?」
 ジョー「出場するにはチームじゃないと駄目なんだ。シングル出場は叶わない。
      でも出たい!それを前向きに捉えたら、こういう結果が出てくるのは当然だろ?
      何も無理に闘えって言ってんじゃないんだぜ。嫌ならいいんだよ。
      俺が全部片づけちゃうからよ。とにかくメンバーがいなくちゃ話になんないんだよ、
      わかるだろ?」
 アンディ「僕は承諾した覚えはないぞ!兄さんだってそうだ。それに・・・!!」

 アンディの口を塞ぎ、シートベルトを着用させようとするジョー。

 アンディ「おい・・・!ジョー!!」
 ジョー「静かにしろよ。もうすぐ着陸だぜ。他のお客様の迷惑も考えろってーの」

 辺りを見回すアンディ。他の乗客がジョーに注目している。バツが悪そうに黙り込むアンディ。

 墓地。テリーが父、ジェフ・ボガードの墓の前で祈りを捧げている。
 テリーに近づいてくる足音。女性が声を掛けてくる。

 マリー「どうしたの? こんなとこで」

 静かに目を開きマリーの方に体を向ける。

 テリー「なんだマリーか。久しぶりだな。おまえこそどうしたんだ。こんな所で?」
 マリー「たまたま通りがかったのよ。そうしたら珍しい顔があるじゃない。
      声をかけたってわけ。なに? 誰かのお墓参り?」
 テリー「ああ、親父の命日でな。ところでこっちにはいつ? 仕事か?」
 マリー「昨日の夜に。今日は仕事の話でこっちに来たのよ」
 テリー「こっちで仕事か。忙しくて結構な事だな」
 マリー「忙しくて結構か・・・。ま、そうでもないんだけどね」
 テリー「なんだ? そんなに厄介なのか、今度の仕事は?」
 マリー「まあね、あなたの所にも届いているんじゃないかしら? これ」

 言いながら封筒をテリーの方に差し出すマリー。

 テリー「キング・オブ・ファイターズか。いや、俺にはまだだ。で、出場するのか?」
 マリー「ええ。けど、出場するのが目的じゃないのよ。今回は一緒にチームを組む奴の調査」
 テリー「チームメイトの調査? 穏やかじゃないな。誰だい、その相手は?」
 マリー「驚くわよ」
 テリー「?」
 マリー「山崎竜二・・・」
 テリー「山崎!?よりにもよってか?」
 マリー「どこに潜伏してるかわかんない奴よ。それを追っかけまわすなんて、
      考えただけでも気が遠くなるわ。そうしてるところにクライアントから
      情報が回ってきたの。山崎とビリーがチームを組みそうだって」
 テリー「ビリー!?ビリー・カーンか?」
 マリー「そう、ビリー・カーン。その情報が正しければ、そこに潜り込んだほうが
      手っ取り早いって考えたわけ。まあ、事は思ったよりうまく運んだわ」
 テリー「組めたのか、チームを?」
 マリー「そう、そこなのよ。私もどうもそこが気になってるの。
      いつもはクライアントの素性なんて関心持たないんだけど、今回だけは・・・ね。
      何か大きな組織が組んでるんじゃないかなんて・・・例えば・・・」
 テリー「ギース!」

 黙ってうなずくマリー。

 テリー「ギースは出場するのか?」
 マリー「いいえ。今回は出場しないわ。その代わりにビリーを出してきた…
      と、考えられないかしら?」
 テリー「目的は?」
 マリー「それがわかればいいんだけど、今は何とも言えないわね」
 テリー「ギースが裏で手を引くのなら俺も探りを入れたほうがいいかも知れないな・・・?」

 気がつくと、マリーがいない。振り返ると、墓地の入り口に停めていたバイクに
 またがってエンジンをかけている。

 マリー「とりあえずは大会に出場して様子を見る事にするわ。
      それじゃ・・・今度は大会で会うことになるのかしら?」
 テリー「ああ、たぶんな。あんまり無理をするなよ。相手が相手だからな」
 マリー「ありがとう。あなたこそ、途中敗退なんて事のないようにね!」

 墓地を去るマリー。テリーもその場を離れようとする。背中越しにテリーを呼ぶ声。

 ジョー「お〜い、テリー!」
 テリー「ジョーか! どういう風の吹き回しだ?」

 ジョーを追い抜いてアンディが叫ぶ。

 アンディ「兄さん!駄目だよ!こいつの言う事に取り合っちゃ!」

 ようやくテリーの所にたどり着く二人。アンディを制して、ジョーが切り出す。

 ジョー「テリー、出ようぜ。キング・オブ・ファイターズに!」
 アンディ「駄目だ。動機が不純すぎるんだよ、おまえは!」
 ジョー「何を細かい事言ってんだよ? 舞ちゃんに嫌われるぜ?」
 アンディ「舞の事を言うな!」
 ジョー「なっ、いいだろ? テリー?」
 アンディ「駄目だよ!兄さん!!」
 テリー「乗ったぜ、その話」
 ジョー・アンディ「えっ!?」
 テリー「出よう。キング・オブ・ファイターズに!」
 ジョー「ヨッシャア!話がわかるぜ、兄貴はよぉ!」
 アンディ「何なんだよ・・・兄さんまで」
 テリー「アンディ、まあそう言うな。ところで、おまえ達腹減ってんじゃないのか?
      パオパオカフェでランチといこうぜ。細かい事は、そこでゆっくり話すからさ」
 ジョー「よーし、行こう行こう。ほら、アンディ!行くぞ!」
 アンディ「まったく、どうかしてるよ、ジョーも兄さんも・・・」

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