KOF’97 龍虎の拳チームストーリー




 サウスタウン。タクマが道場を目指し歩いている。

 タクマ「人が多いな。裏道を回るとしよう・・・!」

 その場には不似合いな気がタクマに近づいてくる。

 タクマ「何だ・・・?これは・・・間違いなく・・・殺気!」

 辺りを見回しながら歩くが、どこから気が漂ってくるのかわからない。
 徐々に薄れていく殺気。

 タクマ「離れて行きよったか・・・」

 緊張を緩めようとした瞬間、生臭い血の匂いを伴いながら、再び殺気がタクマを襲う。

 タクマ「ぬぅッ!!」

 思わずファイティングポーズをとるタクマ。
 殺気の出所らしき男がタクマのすぐ横を通り過ぎる。

 タクマ「!!」

 しばらくその場を動けないタクマ。我に返って見回すが、男は人込みに紛れて姿を消す。

 タクマ「見失ったか・・・。何者だ?あれほどの殺気を持つ男、久しく見た事がない・・・」

 極限流道場。ロバートが車から降り、道場に入ろうとしている。

 ロバート「さあて、今日は弟子に稽古つけたらなあかんな。
       あ・・・ん?えらい静かやな。だれも来とらんのかいな?」

 いつもなら騒がしい道場が、異様なまでに静けさを漂よわせている。
 玄関を開けようとした瞬間、横に立てつけている看板がミシミシと音をたてる。

 ロバート「ん?何や?」

 ロバートが視線を看板に移した瞬間、看板が粉々に弾け飛ぶ。

 ロバート「!!」

 道場の中へと急ぐロバート。道場に入るや襲ってくる血の匂い。
 辺りを見ると、門下生が所々で倒れている。

 ロバート「何や?どういうことやねん!?」

 抱き起こして声をかける。死んではいないが、反応はない。そこにタクマが帰ってくる。

 タクマ「!!ロバート!何があった!?」
 ロバート「師匠!それが・・・ワイにもさっぱり・・・。来たらこないなザマですわ」
 タクマ「誰が・・・!この匂い!」

 道場に向かう途中、すれ違った男の姿が脳裏をよぎる。

 タクマ「奴か!」
 ロバート「奴?師匠、誰の事です?」

 ロバートの質問には答えず、ただ立ち尽くすタクマ。
 数日後、極限流道場。リョウとロバート、ユリの二人と向き合って正座している。

 ユリ「お兄ちゃん、お父さんはどうしたの?」

 目を閉じたまま、静かに答えるリョウ。

 リョウ「道場を出た。今朝だ」
 ロバート「道場を出たぁ? どこへ行ったんや?」
 リョウ「わからん。1人で道場破りを探し当てる気らしい」
 ロバート「探し当てる言うたかて・・・。
       リョウ、おまえそれ聞いときながら黙って行かしたんかいな?」
 ユリ「そうよ、私達にも黙っとくなんてひどいよ!」

 静かに目を開くリョウ。

 リョウ「何も黙って行かせたわけじゃない。俺達がこれからすべき事は聞いている」
 ロバート「これからすべき事?」
 リョウ「そうだ」

 懐から封筒を取り出し、二人に差し出す。

 ユリ「これは・・・」
 ロバート「キング・オブ・ファイターズの招待状やないか!」
 リョウ「そうだ。残された俺達はキング・オブ・ファイターズに出場する。
      そして大会優勝を果たし、極限流の威信を回復する!
      これが親父から俺達に出された指示だ」
 ユリ「極限流の威信回復・・・」
 ロバート「そういう事か・・・。しかし、大丈夫やろか? 師匠一人でどこのどいつかも
       わからん奴を探すなんて・・・。何か手がかりでもあるんかいな?」
 リョウ「細かい事は言わなかったが、それらしき男の姿を一瞬だけ見たらしい。
      ダウンタウンにでも潜り込んで探す気だろう」
 ユリ「うまくいけばいいけど・・・」
 リョウ「大丈夫だ、親父ならうまくやるさ、それより今は俺達だ。
      どうする? 大会出場は?」
 ユリ「私は構わないよ」
 ロバート「ワイもええで。それが師匠の言いつけやったら、なおさらや」
 リョウ「よし、改めて確認するぞ。サカザキ・リョウ、ロバート・ガルシア、
      サカザキ・ユリの3名は極限流館長、サカザキ・タクマの命を受け、
      キング・オブ・ファイターズに出場、大会優勝を果たし、極限流の威信回復を図る。
      なお、館長不在の間は師範代サカザキ・リョウ、ロバート・ガルシアの両名が
      館長代理を務め、道場運営等一切を仕切る。いいな!」
 ユリ・ロバート「押怒!!」

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