KOF’99 主人公チームストーリー




 カメラレンズを通した映像が広がる。
 初めは群衆、ズームして一人の男に焦点が絞られていく。

  『ようく見えるぜ。どうする?』
 
 大柄な男が隣の男に呼びかける。

  『こっちによこせ』
  『そこのゴーグルをかけろ。ダイレクトに俺の目とリンクしてるからよ』

 けだるそうにゴーグルをかける男。
 ゴーグルの内部に映し出される男をぼんやりと眺める。

  『誰だ、こいつ?』
 
 言いながら、たばこに火をつける。

  『二階堂紅丸、雷を操る天才シューター・・・らしい。ちょっとしたファンタジーだよな』
 
 男の答えに何かリアクションを取るでなく、次の質問。

  『このままピーピングしてんのか?なら帰るぜ』
  『いや、そろそろ仕掛けに入るはずだ』
 
 海外遠征を終え、久しぶりの日本。
 自分と同じ人種のにおいに懐かしさを感じながら、人混みを歩く紅丸。

  紅丸 「久しぶりとは言え、日本人のにおいも飽きたな。待ち合わせまでの時間つぶしくらいにはなったが・・・・。こんな所を待ち合わせに指定するなんて、真吾も気が利かないぜ」

 ちょっとした広場まで出てくる紅丸。そこへやってくる真吾。  

  真吾 「お久しぶりです。二階堂さん!」
  紅丸 「久しぶりだな。しかし、もう少し気の利いた場所がなかったのかよ。こんな人の多い所さあ?」
  真吾 「え?」
  紅丸 「『え?』って何だよ?」
  真吾 「今日は日本に着くからこの場所でって、手紙と、ほらKOFの招待状同封して送ってくれたの二階堂さんじゃないですか・・・・?」
  紅丸 「手紙?招待状?KOFだあ!?」
 
 招待状ごと手紙を差し出す真吾。

  『ザ・キング・オブ・ファイターズを開催いたします。二階堂紅丸様、矢吹真吾様の御両者様に関しましては、招待選手で編成されるスペシャルチームでの参加をお願いしたい所存であります・・・・・』

 招待状には手紙が添えられている。
 自分のものとそっくりだが、手紙の筆跡にはもちろん憶えなどない。

  紅丸 「手が込んでるな」
  真吾 「はい?」
  紅丸 「いたずらだよ。しかし、どうやって俺の帰国する日を知ったんだ・・・・・・・!」

 広場にある情報告知TVが大きな雑音をたてる。画面に広がる砂嵐。
 大きな音にもかかわらず、気にならないかのように通り過ぎる人々。

  紅丸 『見られてる・・・!?誰だ・・・!?』
 
 辺りを見回すが、わからない。困惑する紅丸。
 再び大男とその相棒。

  『いい演技だねぇ。わが組織のエキストラ諸君は。通行人になりきってるぜ』
  『もう帰るぞ』
  『ちょっと待てよ。もう終わるから・な!!』
 
 手元に置いてある端末のボタンを押す。
 瞬間、レンズの向こうに映っている告知TVに文字が映し出される。
 画面全体に映し出される文字に注視する紅丸。

  紅丸 「ス・ト・ラ・イ・カ・ー・マ・ッ・チ・・・?」
  真吾 「ああ、これ・・・・」
  紅丸 「知ってんのか!?」
 
 聞かれて、招待状の文面を指さす真吾。

  真吾 「招待状に書いてありました。今年の大会形式だそうです」
  紅丸 「大会形式?どんなやつだ?」
  真吾 「わかんないです。行ってみたらわかるみたいで。今回は4VS4みたいですし」
  紅丸 「4人でやんのか!?」
  真吾 「じゃないんですか?」
  紅丸 「俺とお前と・・・・あとは誰だよ?」
  真吾 「それもそこに書いてます」
 
 急いで招待状を確認する紅丸。

  紅丸 「K´、マキシマ・・・・・?」

 レンズ越しの映像。紅丸の口の動きに合わせて、自分の名前を呼ぶ声がイヤホンから流れてくる。

  『はーい。よろしく二階堂紅丸君』
 
 隣からジュッ!という音。
 視線を移すと、男がさっきまで吸っていたたばこを赤いグローブで包まれた手で握り消している。

  マキシマ「K´、やめとけよ、そのクセ」
  K´「帰る」
  マキシマ「おお、今度は大会でな。大事なグローブだ。あんまり粗末に扱うんじゃないぞ」
  K´「チッ!・・・・」

 舌打ちして、その場をあとにするK´。
 何事もなかったかのように情報告知を再開するTV画面。

  真吾 「どうします?」
  紅丸 「行ってみるしかないんだろうな、多分」
  真吾 「草薙さんもいないし、大門さんも忙しいみたいだし、なんか心細いですね」
  紅丸 「京か・・・。あいつには近いうちに会えるかもしれない・・・」
  真吾 「なんでです?」
  紅丸 「わからん・・・・ただ、そんな気がするだけだ」
  真吾 「そんな気・・・・ですか」
  紅丸 「よし、急ごう。今日中に日本を出るぞ」
  真吾 「あ、はいはいわかりました。お供しますよ」


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