KOF’99 怒チームストーリー
闇の中を数名の人影が動く。
『照明を』
カッ!と辺りをライトが強い光で照らし出す。誰もいない広いフロア。しかし何者かが急いでこの場所を引き払ったあとがうかがえる。
ラルフ「またか・・・・」
クラーク「鮮やかですね。毎回毎回」
ラルフ「これで何回目だ?こっちがやっと見つけたと思ったらタイミングを計ったように逃げ出してやがる」
クラーク「ここで何をしていたかわからないというのも気味の悪い話だな」
隣にいるレオナが何か気配を感じる。気配の方向に走り出すレオナ。
ラルフ「!どうしたレオナ!?」
闇の方に飛び込むレオナ。刃と刃のこすり合う音が響く。
『待って!!』
若い女性・・・と言うよりは少女の声が聞こえる。
ライトが声の方向を追う。ムチを持った少女がレオナのつきだしたナイフをムチの柄で受け止めている。
クラーク「レオナ、よせ。誰だ・・・?」
レオナが下がる。少女も構えていたムチをおろしてラルフ達に敬礼する。
少女「アックス小隊のものです」
ラルフ「アックス小隊?そいつらなら20キロ先のポイントで調査任務のはずだろう?」
少女「今回の任務では複数の小隊が調査任務に就いています。調査対象のポイントの大半が地下でつながっていたようです。私も通路をたどっていたらこちらに」
クラーク「そういうことか。で?そちらでは何か成果はあったのか?」
少女「調査任務ですので、本体への報告の前に詳しいことはお話しできません。ただ、全てのポイントがリンクして、大規模な諜報活動が行われていたようです」
ラルフ「諜報活動?何を?」
少女「お答えできません。そろそろ集合の時間ですので、失礼します」
三人に背を向け、闇に帰っていく少女。見届けるラルフ達。
ラルフ「若いな」
クラーク「レオナも若い方だと思いますが、もっと若いでしょうね」
数日後。
ハイデルンの執務室。レオナ、ラルフ、クラークの三人が並ぶ。
ハイデルン「これを見ろ」
三人の前に封筒が差し出される。中をあらためるラルフ。
ラルフ「KOFの招待状ですか。今年もあるんですね。フン・・・・・、おっ!1チーム4人ですか!?」
ハイデルン「そうだ」
クラーク「じゃ、今回は我々と教官の四人で出場ですか?」
ハイデルン「いや、それよりその先を読んで見ろ」
ラルフから招待状を受け取るクラーク。
クラーク「開催地ですか・・・・・。ムゥ・・・・」
ラルフ「何だ?」
ラルフに再び招待状を返すクラーク。
クラーク「気付きませんか?」
ラルフ「せかすなよ・・・・。なんだ、こりゃぁ・・・・気味が悪いぜ。上へ勝ち進めば進むほど嫌なところに近づいていきやがるな」
クラーク「これまでの任務で肩すかし喰らったポイントが密集しているところですよ」
ハイデルン「それだけではない。今大会は世界規模での盛り上がりを見せていない。どうも闇大会の線が濃厚だ」
ラルフ 「本部ではどう考えているんです?」
ハイデルン「本日中に諜報作戦本部が設立されることが決定した。私はそこで指揮を執る」
クラーク「それで我々は?」
ハイデルン「大会に出場し、今大会の裏で動いているものを調査せよ」
レオナ「了解」
ラルフ「不足した人員の補充は?」
後方のドアからノックする音。
ハイデルン「入れ」
ドアが開く。見覚えのある少女。
クラーク「あんたは・・・」
ハイデルン「アックス小隊からこちらへ移ってきた。調査任務はかなり消化している」
少女「よろしくお願いします。アックス小隊でのコードネームは・・・・」
ラルフ「ムチ子」
失笑するクラーク。少し怪訝な表情になる少女。
少女「・・・・なんですか、それ?」
ラルフ「コードネームだろ?わかりやすいのが一番だからな。ムチを使っているから『ムチ子』違うか?」
少女「『サリー』です」
頭の中で綴りを想像するクラーク。
クラーク『S・A・L・L・Y=<出撃>か。勇ましいな』
ラルフ「『さりー』?ずいぶん普通だな。ま、いい。しばらくの間よろしくな、『ムチ子』」
手を差し出すが、敬礼で返される。
レオナ「よろしく」
敬礼で返すレオナ。次に手を差し出すクラーク。
クラーク「よろしくな、ウィップ」
少し虚をつかれた表情になるが、笑顔を見せる。
ウィップ「それはいいですね。気に入りました。よろしく」
握手で返すウィップ。
クラーク「勇ましいな。若いうちからこんな商売はろくなもんじゃないぜ」
ウィップ「そうでもないですよ。前にいた所よりはたくさん笑って過ごせていますから」
ラルフの方に目をやるクラーク。肩をすぼめて答えるラルフ。
ハイデルン「手短にブリーフィングを行い、すぐに作戦行動に移ってもらう。十分後にブリーフィングルームに集合、荷物をまとめておけ。以上!」
一同 「了解!!」
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