KOF’MAXIMUM IMPACTストーリー
―暁の悪魔―
アルバ・メイラ
<あの時、あんた1人を行かせるんじゃなかった・・。フェイト、俺はどうしたらいい・・・。
ダウンタウンがあの男によって支配されて行くのを、只見ているだけなのか・・・。>
雨は少し小降りになって来たようだ。アルバは空を見上げた。
「俺はもうあんたに守ってもらう年じゃないな。」
まだフェイトに甘えてしまう自分をアルバは笑った。
「自分の手で、納得の行く決着をつける事にするよ。
あんたに教えられた事はちゃんと守るから安心してくれ。」
そう言い残してアルバは歩き出した。
危険な交渉をこれから行うために。
<まさか、まさかあの男に会いに行ったのか?!>
ソワレは、走った。
そして、倉庫街の一角の袋小路にアルバは居た。
その目線の先には大男が立ちはだかっていた。
男の顔は夜の闇に隠れて見えないが、
その首にある傷はハッキリとわかる。
「兄さん!」
ソワレはアルバに向かい叫んだ。次の瞬間、
男の背後から閃光が走った。
アルバがゆっくりと倒れてゆく・・・・・・。
「夢・・・・・・夢だったのか」
ベッドの上に跳ね起きたソワレの手は汗ばんでいた。
外は夜明けを迎えようとしている。
「今の夢は現実にはさせないぜ。
兄さんをフェイトと同じ目には合わせたりしない。
俺の手で、兄さんを守る」
ソワレは静かに決意をした。
『ベーグルにトマトをスライスしてはさんで欲しいの。それから、コーヒーもね』
美しい唇から視線を離せない自分に店主が気付くまでに3秒かかった。
「スペシャルトマトベーグルサンドだ、お嬢さん」
女は微笑を返し、袋を受け取り店を出て行った。
店内にいつもの騒がしさが戻った頃、
カウンターでビールを飲み続けていた男が言った。
「あの女は女神なんかじゃない、死神だ。
フェイトを殺す為にデュークが雇った殺し屋だ。名前は・・・確か、リアン」
男の話に店内は再び静まりかえる。男たちは思った。
あんなに美しい死神なら悪くない。と。
「サラマンダの力により生まれし光よ、汝の力を我魔術の目的に貸したまえ。」
ミニョンの口から発せられた呪文が終わると同時に眩い光が、合わせた掌から発生した。
しかし・・・。
「あぁぁぁ、失敗だわ・・・目がチカチカしちゃったよ〜。
まだ、私には無理なのかな・・・お婆様。」
ミニョンの目から涙がこぼれ落ちたように見えた。
「失敗は誰にでもある事よね。
頑張って練習したら絶対にお婆様のような立派な魔女になれるはずだもの。
お婆様が仰っていたもの、健全な体に力は宿る。
お勉強も大事だけど体も強くないとダメ、って・・・。
そうか!ミニョンはまだ、強い体を持ってないから失敗したんだわ!
そう言えば、お父様の所に届いていたお手紙の中にKOFの大会案内があったわ。
大会に参加して勝てば、強い体を持った事になるはずよ。早速お父様にお願いしよう。」
『・・・キム先生の代わりって・・・・・・もしかして・・・あの大会に・・・わたしが出るの・・・』