KOF'XIV キムチーム ストーリー




 - キムチーム プロローグ -

静寂に包まれた道場でテコンドー界の至宝はチャンとチョイの“教育”について考えていた。彼らも真面目に鍛錬するようになっており、その褒美として休みを与えることにした。 しかし、1週間経っても帰ってこず、彼らに休みを与えたのは間違いではなかったか、今すぐにでも道場を空けて探しに行った方が良いのではないかと考えていた。そんな中、道場に向かって歩いてくる二人分の足音が聞こえ、急ぎ入り口まで飛び出した。

「やっと帰ってきたか! 約束も守れないとはお前達は真に更正できていなかったようだな。さぁ、明日からはよりハードな鍛錬をつけ……え!?……し、師匠!?」

チャンとチョイが帰ってきたのかと思ったのだが、扉の前に立って居たのは、テコンドーを広めるために世界中を渡り歩いている彼の師匠と妖艶な雰囲気の見知らぬ女性だった。

「ほう!このわしに鍛錬をつける気かのぉ、キムよ!」
「この子があなたの弟子なのねぇ、師匠に啖呵を切るなんて元気がありそうで素敵だわ。」

キムにとっては久方ぶりの再開なのだが、師匠には苦い思い出が多々あり、出来れば会いたくない人物の一人である。その人物が、突如帰ってきたことに動揺を隠せず、口をあけたまま固まってしまう。

「言葉を失うほど、嬉しいとはのぉ!師匠明利につきるわい。そうじゃ、まだ紹介しておらんかったのぉ、旅先で出来たわしの恋人のルオンじゃ。」
「はじめまして、キムちゃん。あなたのことはいろいろと聞いているわぁ。よろしくね、正義の味方さん♪」
「うむ、正義の味方といえば、悪人を更正していると風の噂できいておるぞ。そやつらにも会ってみたいものじゃのぉ。どこにいるのだ、キムよ?」
「そ、それは……。彼らには1週間ほど、自由を与えたのですがまだ帰ってきておらず……」
「あらあら、まんまと逃げられたのね。かわいそうなキムちゃん。慰めてあげようかしら、うふふ。」
「い、いえ結構です。チャン・コーハンとチョイ・ボンゲは必ず見つけ出し更正させますので!」
「チャン・コーハンとチョイ・ボンゲ……。その名前どこかで見たことあるわね。あなた、街で配ってた号外にその名前載ってなかったかしら?」
「そうだったかのぅ?どれどれ確認して見てみるか。」

ガンイルが鞄から取り出した号外の見出しには『稀代の極悪人、ザナドゥがKOF参戦か!?』 と書かれており、そのチームにはチャンとチョイの名も記されていた。

「彼らはこのザナドゥとやらに唆かされたに違いない。私は彼らを正義の道に連れ戻すべく、KOFに参加致します。」
「ほぅ、KOFか!強い格闘家達が集まると聞いておる、実に興味深いのぉ。わしらも参加するか、ルオン?」

予想だにしていなかった師匠の参加発言に思わず、キムは唖然とした。

「え?」
「あら、名案ねあなた。私もキムちゃんの為に一肌脱いであげる♪」
「い、いえいえ結構ですとも。お二人ともお忙しい身、お手を煩わせるわけにはまいりません。私は志を共にする仲間を見つけKOFに参加する所存です。」
「そう遠慮することはないぞ、キムよ。かわいい弟子の為だ、予定など全てキャンセルして大会まで傍にいてやろう。」
「あなた、その間に“教育”の極意についてキムちゃんに教えてあげたらどうかしら?」
「それは、良い考えじゃのう!!では、明日から始めるとするか!」

ガンイルとルオンはKOF参加への意思を固め、各所に連絡し予定のキャンセルを行っている。そして、ここに居座る準備も……

「大変なことになってしまった……。早くチャンとチョイを連れ戻さねば。」

彼の”教育”は師匠というファクターを得てさらに昇華するのか、それともただ翻弄されるだけなのか?彼の長年に渡る”教育”の成果が今試される。



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