KOF'XIV 悪人チーム ストーリー
- 悪人チーム プロローグ -とある囚人施設では新たに収監される囚人の受け入れが行われていた。
「あ〜、キムの旦那の目を逃れて自由になったと思ったら、今度は法に縛られることになったでヤンス。」
「ったく、チョイが酔っ払った勢いで飲み屋で暴れたのが悪いんだぜぇ。」
「騒いで壁や机を壊したチャンのだんなには言われたくないでヤンス。」看守に連行され、最下層の監獄に入ると中は異様な空気に包まれていた。 囚人達は異常な程の活気に溢れ、何に使用するのかわからない横断幕の作成を行っていた。
「なんだか、妙に活気があって不気味でヤンスね……」
「あっはっはっはっはっは〜。」突如、背後から監内に響き渡る程の大きな笑い声が聞こえ、振り返ると先ほどの声の主が腰まで伸びた青髭をぶらぶらと振り子のよう揺らしながらこちらに近づいてきた。
「……ようやく辿り着いたか。時空の曲面に捕らわれし、芋ときりもみよ。」
落ち窪んだ目に瞬きすることなくこちらを凝視する、薄気味悪いほどぎょろりとした目玉。そして、特徴的なフェイスペイントを施したその容姿からチョイは彼が何者であるかすぐさま気付いた。
「こ、こいつ知ってるでヤンス!ザナドゥでヤンス、超のつく悪人でヤンスよ! 行った悪行は数知れず、訪れた国々で重犯罪を犯す国際的超有名人でヤンス!!」
「すげーワルじゃねぇか!ちょっとびびっちまったぜぇ。どうするチョイ、正義の鉄槌をくらわしちまうか?」
「……すっかりと正義に染まりきってるでヤンスね。」ザナドゥは顔を近づけ、瞬き一つせず二人の目を見つめ、ニヤリと笑みを浮かべる。
「揺らいでおる、揺らいでおるな!」
「ギクッ!」
「概念を捨てよ!無に還し創造せよ!」ザナドゥが取り出したものはチャンとチョイにも馴染みのある格闘大会からの招待状であった。 KOFへの参加は万人に対して許されている。それは極悪人も例外ではない。
「既に道は開けておる。時と空間の交わり!即ち自由! 頂きにこそ、望むものがある。さぁ概念を分離せよ!」
「俺らの望み……。じ、自由!絶対的な力!そして金持ち!幸せな老後!……ザナドゥの旦那、俺達を導いてくだせぇ」
「正義に染まりきったあっしらを変えられるのはザナドゥのだんなしかいないでヤンス!」
「拡散するのだ、全てを分裂し融合する! ぬははははぁ〜はっはははは」ザナドゥの笑い声が監獄内に木霊する。囚人の誰もがその声に感化されるように雄たけびをあげる。
「おおおぉ!すげぇ、派手に暴れる気だぜぇ!ここまでのカリスマっぷりは見たことねぇぜ!こいつについていけば、極悪街道まっしぐらだぜ!」
「あっしらにもツキがまわってきたでヤンスね」
「全ての理は揺らぎより出づる。うぬら、エントロピーを高めよ!」チャンとチョイに待ち受けるのは華々しき悪の道か、はたまた正義の鉄槌なのかはまだ誰にも分からない。